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フード・コラム

私の‘食’‘文化’と食空間コミュニケーション

日本フードアナリスト協会 五十嵐かほる

五十嵐かほる

私が美味しい食事に、興味が湧くようになった理由は3つ程あります。1つ目は、両親が外食好きで、幼いころから、あちこちと食べ歩く事が多かったこと。2つ目は、新潟出身のグルメの朋友から受けた影響でした。その彼は、食べ物について職人並みの豊富な知識で、学生時代から彼の先輩と3人で美味しい蕎麦屋へ2時間掛けてドライブに行ったり、食べ呑み歩きをしたりと楽しい時間を過ごした思い出があります。社会人となった彼は、オーストラリアはシドニーに赴任し、私がシドニーへフライトする度に美味しい所へ連れて行ってくれるという最高の友人でした。オーストラリアやタスマニアの食材の豊富さや洒落たお酒の飲み方を教えてくれたり、葉巻を初めて体験させてくれました。もちろん今でも最高の朋友で「食」の情報交換をしています。そして、3つ目は、私のフライト先で、一番訪れる機会の多かったのはオーストリア・ウィーン。650年間もヨーロッパに君臨したハプスブルク家のお膝元であるその街は、様々な文化が交流した興味深い場所でした。ハプスブルク家の歴史と絡んで、結婚政策、他国との戦争、異教徒との戦いを通して関係のあった国々の料理が融合しあい、すべての郷土料理がイタリアやスペインやトルコなどの影響が色濃く出ていると言えます。それに、栄華の象徴である食器と銀器、クロスに至る文化やテーブルマナーも成熟し、ハプスブルク家の子供たちは、頭の上に本を載せたままスープを飲む訓練をしたりと、聞いただけで食欲をなくしそうな厳しいマナーで、育てられたとか。それが後に政治の駒として各国に送られた皇女達。その一人が有名なマリー・アントワネットだったという物悲しい歴史ですね。

最近、食事のエチケットや「国際プロトコール(儀式)」教室も増え、改めてマナーを学ばれる方が多くなりました。また、それらに関するハウツー本も、多数出版されています。長年、日本人が見失いかけてきたマナーを大切にする気持ちが、人間性をより重要視する時代になってきたからこそ、芽生えてきているのではないかと感じています。

「マナー」とは、堅苦しく考えるものではなく、楽しい時間を一緒に過ごす為の「相手に対する思いやり」。
食の経験を積みながら、‘食’の場での‘食空間コミュニケーション’も大切にしたいですね。