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フード・コラム

「食事上手」のファッションルール

日本フードアナリスト協会 江木園貴

江木園貴

日本、特に東京には世界の料理を堪能できる素晴らしいレストランが集結しています。お金さえ出せばあまたあるそれらの料理を全て食することも不可能ではありません。しかし、私には食するという行為が、ただ空腹を満たすだけの単純な行為ではないように感じています。そこには料理を作るための素材を、より美味しく生まれ変わらせる料理人の技と知恵、おもてなしの心溢れる給仕と演出、食する者の味わおうとする気持ちや楽しい会話、店の内装やその場の雰囲気など、多くのことが一体となって、何かの化学反応を起こすかのように作用し、一期一会が生まれる。それが“食する"ことの醍醐味だと感じるのです。そこには確実に同じ時間と空間を共有する人たちの“心”がこもっているといえるのではないでしょうか。

ところで、日本には古くから“ハレとケ”という言葉があります。普段である「ケ」に対して、晴れ舞台や晴れ着などに表わされる特別な場面を「ハレ」と呼んでいました。今でもハレの日には、良い着物(服装)を着て豪華な食事をする風習が残っています。 ハレの日に相応しい装いをすることは、一緒に過ごす大切な人たちやレストランにも敬意を表していることになりますから、出向く場所のドレスコードを事前に調べ自分勝手な選択をするのではなく相手に合わせた服装を心がけます。女性は、季節にもよりますが、昼間はできるだけ肌の露出を避け、上品なスーツやワンピース、アンサンブルなどを着ます。男性は黒またはダークスーツに光沢のある無地で上品なネクタイが無難です。クールビズの装いであっても、質のよいジャケットとアイロンの効いたシャツは必須でしょう。またポケットチーフをふわっと胸ポケットからのぞかせることが出来れば上級者といえます。夕方5時以降であれば、女性は肌の露出が多いデザインやサテン、シルクなど光沢がある生地を使ったドレスにきらびやかなアクセサリーを合わせ華やかなイメージを演出できます。男性はフォーマルかそうでないのかを事前に確認しておけば間違いがありません。意外なことにダークスーツやタキシードは男性をより魅力的に見せる効果があるのです。

ハレの日に相応しい装いが整ったら、仕上げはホスピタリティーの心で振舞うことにしましょう。女性ならエスコートしてくださる男性や給仕をしてくださる方たちにさりげなくお礼が言えたり、相手を思いやった楽しい会話と笑顔を心がけること。男性なら女性の椅子を引いたり、上着を脱ぐのを手伝ってあげたりと控えめながらジェントルマンの基本を実践してみましょう。相手を思いやることで会話もスムーズに進み、美味しい料理との相乗効果で胃袋のみならず心も満たされることでしょう。