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フード・コラム

溢れる食情報の中で

日本フードアナリスト協会 藤原浩

ここ数年、食関連情報が溢れています。TV、ラジオのみならず専門書から雑誌の特集記事、インターネットなどなど・・・あまりにも多くの媒体に記事が載るので、頭がついていかない状態です。
それでも、好奇心が足繁く本屋に向かわせ、新聞欄から食に関わる番組をチェックしてはVTRで保存。美味しい店があると言われれば、西へ東へ。しかしながら、拘りと心を満たしてくれた情報は100の内1つあればいい方というのが現実だと割り切っています。
著名な料理評論家が薦める料理店で、何度も失望を味わい、意外な無名の店が素晴らしく美味しくてサービスも心地良かったり・・・人間が人間のする仕事や作り出す料理を評価する事の難しさを実感します。

美味しかった、楽しかった、快適だったと感じる条件が人それぞれ違うのと、体調や環境(レストランに行った目的や同席のメンバーとの関係)などによっても大きく左右されるであろう判断の基準。
作り手とて体調もあるし、食材にもコンディションがある。肉や魚でも、部位によって味が違うのですから一度だけでの評価はかなり難しいと言えるでしょう。

それでも新しい情報が出る度にその情報をチェックし、気になるものは実際に体験しよう!と思います。それは素晴らしい料理との出会いの感動が何にも勝る喜びに他ならないからです。作り手の拘りを皿に表現し、心を震わしてくれた料理を作ってくれた料理人には感激と感謝を伝いたい気持ちになります。日本では、なかなか料理を作ってくれた方と直接話す機会はありませんね。私は、出来るだけお皿に意思表示を残しておこうと考えています。
素晴らしく美味しい時は、ソースまで残さず食べる、今ひとつの場合は少し残す・・・など。
以前、レストランで好みが合わず、少しだけ残した事があるのですが、その皿を見たスタッフは笑顔で「お好きではない食材でしたか?」と聞いてくれました。「塩気が少し僕には強かったです。」と正直に応えました。後日、訪れた時に味は好みにピッタリ修正されていました。
驚いて、素直に「今日は好みにピッタリで素晴らしく美味しいです」とサービススタッフに伝えました。帰り際に、シェフが出て来てくれてそっと教えてくれたのは、「前回は、僕が連れていたお客さんがワインを飲んでいて、その方を僕が招待した情報を予約の段階で理解していたので、お客様を第一に味付けをしたのだと。僕は、車だったので水を飲み、基本的に強い塩気が好みではないという情報がなかったので、残した時にお伺いさせて頂きました。」と。そして、「今回は、頂いた情報から味の好みに合う調理を心掛けさせて頂きました。」と話してくれたのです。そこまで、お客側の事を考えて料理を作るシェフ、そしてそれを支えるサービススタッフに感謝の気持ちでいっぱいになりました。正にホスピタリティの精神ではないでしょうか。そして、一度だけの訪問だったら気付けなかった事がニ度目の訪問で素晴らしい体験となったのですから、この経験はお金にはかえられません。

食べることを愉しむには、一方的にサービスを待つのではなく、予約の段階から情報を伝える努力を行えば、更に満足度の高い時間が過ごせるのではないでしょうか。
それ以来、予約時には人数、メンバーの好み、体調、誰が主役、連れて行く人の好き嫌いを伝え・・・お勧めの食材、調理法などを聞くようになりました。

もちろん、全てのお店に通用する話ではありませんが、そうしたやり取りで満足出来る「大好きなレストラン」を見つける楽しみもまた、食関連の情報の一部です。

自分の好みの店を見つける方法に、絶対はありません。それぞれが情報を整理して、感性を駆使して判断し体験するしかありません。
言えるのは、店側も客側もお互いが敬意をもって接すること、そして、感謝の気持ちが何より大切だと思います。