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フード・コラム

日本酒について

日本フードアナリスト協会 四本晋一

吟醸酒の仕込みも終わりに近づき、蔵人の帰郷が始まる時期3月になりました。そこで酒蔵の話を少し書きたいと思います。

今は四季醸造も増え通年雇用が出てきましたが、多くの酒蔵は秋から春に掛けて蔵人を雇い入れて酒造りをしています。これがいわゆる寒仕込みです。その蔵人の頂点にいるのが杜氏です。杜氏の名の由来は昔酒造りが女性の仕事でその古称「と刀じ自」から転じたと言う説と、中国で「と杜こう康」が酒造りをはじめたのでその名にちなむと言う説があります。

杜氏や蔵人たちは農漁村からの冬の出稼ぎが主で、おもな杜氏集団は丹波杜氏・但馬杜氏(兵庫県)、越前杜氏(福井県)、丹後杜氏(京都府)、越後杜氏(新潟県)、南部杜氏(岩手県)、越智杜氏(愛媛県)、柳川杜氏(福岡県)などがあります。杜氏の下には頭、釜屋、代師、?師などの責任者がいます。彼らは大変信心深く蔵入りは必ず大安の日に行います。また、儀式にこだわり甑起し・中祝い・甑倒し・皆造と節目毎に祝います。

そんな杜氏達が祭るのが松尾大社です。松尾大社は京都市西京区嵐山宮町にありおおやまくいの大山咋かみ神といち市きしま杵島ひめ姫のみこと命の二神を祭っています。おおやまくいの大山咋かみ神は酒祖神として有名な神様で、この境内にある神泉「亀の井」は「酒の元水」ともいわれ醸造家が持ち帰って用水に混和する慣わしがあります。

ここで簡単に酒造りを説明しますと、精米→蒸米→せい製ぎく麹→酒母造り(?造り)→仕込み→上槽→火入れ→貯蔵になります。この中で麹造りが重要で酒の良し悪しが決まります。

鑑評会の時杜氏は麹室に泊り込みます。蒸米の引き込み・床揉み・種きり・切り返し・盛・積み替え・中仕事・仕舞仕事・出麹と48時間の間休む間も無く作業をして麹の出来具合に気を配ります。そして出来上がった酒は蔵中に香り何とも表現の仕様がないふくよかな香りに包まれるのです。最後に日本酒独特の作業火入れが行われます。火入れとは蛇管と呼ばれる管を熱湯が入った釜に入れて殺菌することです。温度は63度から68度位での低温殺菌。火入れにも最新の注意をはらい、出来上がった酒も杜氏自ら鑑評会の審査会場に運び込みます。

鑑評会で金賞が取れると杜氏は勲章を得たような安堵の表情を見せます。

日本酒を評価することをきき?ざけ酒といいます。?猪口に酒を入れ色・香り・味を見て評価します。?猪口は底に青と白の渦巻きがあり通称「蛇の目の猪口」ともいいます。これは色を見るのに濃淡がはっきりと判るからです。きき?ざけ酒は舌の上に広がるように酒を口に含み五味を確かめ、その後啜る様にして香りを鼻腔に入れ確かめます。

もし飲み屋で酒をジュルジュルと啜っている人がいたら、それは杜氏かもしれません。共に薀蓄を傾けての一献も楽しいかもしれません。