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海外だより

藤田にこ『食ッキング・食っきんぐ』

ケベック風?!ボジョレー・ヌーボーの味わい方


 11月の第3木曜日。ボジョレー・ヌーボー解禁の日。毎年賛否両論起こる中、世界のあちこちでお祭り騒ぎが繰り広げられます。もともとは、その年に収穫されたブドウの出来具合を確認するための試飲新酒であったのが、解禁日をイベントとして広く一般に売られるようになりました。日本は、ボジョレーヌーボー輸入量、世界第一位だそうな。時差の関係で、世界の先進国の中でもいち早く解禁になります。こちらのフランス語のニュース番組で、「日本人はボジョレーヌーボーをプールで味わう」と題し、ボジョレー・ヌーボーに全身つかりながら乾杯の盃を掲げる日本人の様子が報道されていました。






 そんなお祭り騒ぎに参加したり参加しなかったりの私ですが、今年は大変興味深いところにご招待いただきました。La Confrerie des vignerons de Saint-Vincent(コンフレリー・デ・ヴィニュロン・ドゥ・サン・ヴァンサン)が主催する試飲ディナーです。コンフレリーとは、宗教ギルド、兄弟会。フランスの中世の頃、各地にコンフレリーが作られ、その土地のあらゆる職業従事者をサポートしました。その中に、もちろん、ワイン製造業者を応援するものもありこれがコンフレリー・デ・ヴィニュロン。サン・ヴァンサンは、聖人ヴァンサン、ワインの守護聖人でもあります。Vincentという名前が、Vin(=ワイン)、Sang(=サン、血の意味)の音を含んでいるからという面白い理由です。このコンフレリー、第二次世界大戦後の1950年にフランスで再生し、1962年にここモントリオールにその支部が作られました。ワインを楽しみ、その素晴らしさを伝え、ワイン業界を応援していこうという目的の元、様々な活動を行っています。

 上記のような誕生の由来がある団体ですから、その衣装も、まるでキリスト教の司祭。ただ、本物の司祭が白い服なのに対して、こちらはSangの赤い色。首にはメダルではなく、きき酒をするための銀製の小皿(Tastevinータートヴァン)をぶら下げていて、失礼ながらどこか滑稽です。

 そんな、由緒正しくもユーモラスな雰囲気漂う団体主催の試飲会。きちんと着席したところに恭しく、ここケベック州で今年購入可能な4種類のボジョレー・ヌーボーが、順々に運ばれてきました。






 1.Mommessin Beaujolais Nouveau
毎年可愛らしいエチケットで目を楽しませてくれるモンメッサン、今年の絵柄は、秋色豊かな草原で、軽やかに自転車をこぐ少女。絵柄のごとく、軽やかな味わい。ラズベリーやザクロなど、豊かなフルーティーさが楽しめます。

 2.Georges Duboeuf Beaujolais Nouveau
ボジョレーの帝王、ジョルジュ・デュブフは、ボジョレー・ヌーボーの代名詞的な存在。1のモンメッサンに比べると少し重みが増しています。

 3.Dominique Piron Beaujolais Nouveau
今回の4本のうちで、私の一番お気に入りはこちら。フルーツの豊かな香りの中にも少しスパイシーさがきいています。後味が物足りないボジョレー・ヌーボーの中にあって、口中の味わいが比較的長く楽しめます。テクスチャーも噛みごたえがありました。

 4.Domaine des Terres Dorees Beaujolais Nouveau
さくらんぼや花の香りを楽しめつつも、そこに胡椒の香りが品よく寄り添います。エレガントさは美しいルビー色に象徴されています。

 さて、ここで終わらないのが、さすがのコンフレリー。ボジョレー地方で、特に優れたワインを生産している10の地区には、Cru(クリュ)の格付けがされていますが、そのうちのFleurieもこの日一緒に試飲できることになっていました。
 Domaine du Vissoux Fleurie Poncie 2012。ボジョレーならではの飲みやすさと、食事のお供にしやすさはそのまま。フルーティーかつ花の香りに恵まれつつも、湿った木やミネラルの味も含まれているのはさすが。今年中に飲んだ方がよいボジョレー・ヌーボーとは違い、数年後にまた飲んで違いを味わいたい、そんな気持ちに駆られます。






 今回の試飲会の開催場所は、Ecole Hoteliere de Montreal (モントリオール・ホテル学校)。食の専門家を排出する専門学校で、今晩のワインの付け合わせも、先生シェフの指導のもと、学生たちが作ります。ミントと洋梨のマリネに鴨肉のスモークをあわせたもの、アーティーチョークのブルスケッタ、カボチャサラダ、鴨肉と野菜のクレープ巻き、鶏肉ローストにホワイトチョコと4種の香辛料をつけたものなど、凝りに凝ったラインナップ。リヨン風ソーセージや4種類のチーズをワインと楽しんだ後のデザートは、洋梨のムースやりんごタルトが、お皿の上にきれいにデコレーションされて出てきました。
どれも、学生たちが丁寧に心をこめて作ってくれたのがわかる、温かみのある優しい味わいで、ボジョレー・ヌーボーにぴったりの付け合わせでした。
   http://www.cspi.qc.ca/calixa-lavallee/

 衣装ばかりか鼻の頭まで赤くなったコンフレリーのメンバーの方々との、楽しいおしゃべりや笑いは、美味しい時間の一番の立役者。楽しい時間はあっという間に過ぎていきました・・・
 終わったばかりとはいえ、もう来年のボジョレー・ヌーボーが楽しみ。聖ヴァンサンとともに、指折り数えて楽しみに待つことといたします・・・