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海外だより

藤田にこ『食ッキング・食っきんぐ』

はしご酒 in Montreal




 セルバンテスの名言「私は機会があれば飲む。時には機会がなくても飲む」に支えられて、今年も過ごしてまいりました。お料理のレベルが高いお店は、それに美しく調和するレベルのお酒類が豊富に準備されていて、各お料理とのマリアージュを、一期一会の貴重な出会いとして提供してくれます。さりげなくも完璧な演出の裏には、ソムリエ等専門家の日々の御尽力と、シェフやスタッフとを含めたチームの絆とが見え隠れします。そんな人間の輝きこそが、美味しいお酒の余韻となって心に残っていきませんか。
 今月の海外だよりでは、私の「はしご酒」体験をちらりと御紹介してまいります。駆け足になりますので、くれぐれもはしごを踏み外さないようにお気をつけあそばせ・・・




 私があちこちにいそいそ出かけて行ってお酒の体験を重ねる、そんな日々を支えてくれる要のような存在があります。当地料理界にて活躍する日本人若手のシェフや経営者と行う、ワイン勉強会。お料理とボトルを持ち寄ってあーだこーだと感想を述べ合います。この日は拙宅にて、比較的御手頃なフランスワインを中心に飲み比べ。ワイン販売会社Selection Oeno(セレクション・ウノ)にも御協力を頂きました。自分の好み、そしてお店のお客様にどう提供していくか等につき、喧々囂々、侃々諤々のうちに夜が更けていきます・・・

 


 世界各地からやってくるワインチームの試飲会にも、私のはしごはしっかり届いています。上の写真はナパからのワインチーム。ケベック・国際観光学院にて、マスター・ソムリエのElyse Lambert(エリーズ・ランベール)がセミナーをしてくれました。




 ワイン輸入エージェンシーのFins-Delaney(ファン・ドゥラネー)主催のフランスワイン試飲会は、旧市街のAuberge Saint Gabriel(サン・ガブリエル)レストランにて。古めかしい建物の雰囲気にフランスワインはやはり良く似合います。

 


 アルザスワインの試飲会。すっきり、キリリと締まったお味、爽やかな清涼感等、日本食とのマリアージュも大いに期待できるボトルが揃いました。




 地元ケベック州産のワインを応援するフェスティバルもあります。寒い気候を利用してのアイスワインは有名ですが、普通のワインも頑張っています。地方旅行でこうしたワインのメゾンを訪れて試飲をする観光キャンペーンも盛り上がりを見せています。




 当地最大の試飲会、モントリオール大試飲会。とにかく参加ブースが膨大な数なので、巡るのも体力勝負。







 イタリアワインの試飲会は、提供されるお食事も楽しみの一つ。普段SAQ(ケベックアルコール協会)のお店ではお目にかかれないボトルもたくさん。こうした試飲会を通じて輸入業者が気に入ってくれれば、プライベート輸入から道が開けていきます。




 ソムリエやワインジャーナリストの方々の御活躍は多岐にわたります。Monsieur Bulle(ムッシュー・ビュル-泡-)ことGuénaël Revel(ゲナエル・ルヴェル)さんのシャンパンに関する本の出版記念パーティーにご招待いただきました。会場はポルトゥス360。シャンパンに関する本はなんともう10冊目だそうな。日本にも大変ご興味をお持ちで、ぜひ日本語版も出版していきたいと意欲満々でした。写真クレジットはMario Landry(マリオ・ランドリー)。

 


 グルメ雑誌「Exquis(エクスキ)」の資金援助のためのパーティーでは、ソムリエ大会が同時開催されました。今回のテーマはフランスのロワール川流域のワイン。有名レストランでソムリエを務める3名が、知識と技量を競います。時間制限のある中でいかに的確に優雅にワインを紹介、ガイド、提供できるかが競われ、見事優勝したのは、私も大好きな魚介類レストラン、Le Filet(ル・フィレ)のソムリエ、Joris Garcia(ジョリス・ガルシア)さんでした。終始緊張が伺えた表情が、発表の瞬間にようやく緩み、こちらまで笑顔になりました。 




 Club des dégustateurs de grands vins(グランヴァン試飲家クラブ)のお教室にゲストで呼んでいただきました。講師はHuffington Post Québecに毎週ワイン関連記事を執筆されているYves Mailloux(イヴ・マイユー)さん。2時間で6本のワインを試飲、細かく分析していきます。参加者はワインを飲み始めたばかりの若者からかなりの御年配まで、老若男女バラエティ豊か。この日は1990年のスペイン、Conde Valdemar Gran Reserva(コンデ・ヴァルデマル・グラン・レゼルヴァ)や、1999年のGevrey Chambertin(ジュブレ・シャンベルタン)の奥行きある味わいにうっとり。素晴らしいワインは、決して押しつけがましくなく、ゆったりじっくり美味しさを運んで来て持続させ、口中から夢を見させてくれる、そんな魔力を持っています。私はと言えば、まさにこのワインボトルの時代に、フランスに住んでいて、ブルゴーニュに週末車を飛ばしてワインを飲みに行ったことなどを思い出し、思い出の中に夢を見ておりました。




 Association canadienne des sommeliers professionnels(カナダ・プロフェッショナル・ソムリエ協会)のケベック州クリスマス会におよばれ。参加者は1本ずつボトルを持ちよりますが、ラベルを隠して持っていき、皆で目隠し試飲をします。その道のプロに囲まれても物おじしない私は、良いのか悪いのか。私は比較的わかりやすい、Cahors(カオール)のMalbec(マルベック)を持参しましたが、それにしてもすぐに二人に当てられ驚き!目を丸くする私に二人のムッシューは、「実はコルクを盗み見たんだ」とウィンク。からかわれ、可愛がられて楽しいパーティーの夜が更けていきました・・・




 さて、ワインばかりでなく日本酒だって負けていません。SAQ(ケベックアルコール協会)には限られた種類の日本酒しかないというのが、当地日本人コミュニティーの定説になっていますが、今年はそこに、素晴らしいラインナップが加わりました。輸入にご尽力されたのは、カナダのベストレストラン100にも選ばれている日本レストランJuni(ジュニ)のオーナーシェフ、池松純一さん。池松さんのことは、以前にも一度ご紹介したことがありました。

海外だより「とっておきのサプライズ」

 池松さん御自身が実際に足を運び、製造工程や味、そして作り手の情熱を目の当たりにした上で厳選した日本酒のお披露目試飲会にお招きいただきました。場所はセントカトリーヌ通り沿いのSAQ Signature(SAQシグネチャー)。ジュニさんのお寿司と合わせる豪華な試飲です。

 1.愛宕の松 本醸造 新澤醸造店
 究極の食中酒が謳い文句。穏やかなバナナの香りと鋭いキレの味わいが、料理を洗い流し次の料理を引き立たせます。赤ワインに合うお料理にもマッチするので、日本人以外の方へのプレゼントにも最適。

 2.伯楽星 純米吟醸 新澤醸造店
 爽やかでフルーティーな香りと、柔らかくまろやかな味わい。あくまでお料理の脇役であることを目指したお酒は、飲むほどに味わいを増していきます。刺身やカルパッチョにベスト・マリアージュ。

3.伯楽星 特別純米 新澤醸造店
 蒸したお米の香りにバランスよくシャープな味わい。クリーム系のお料理や海鮮料理、お肉料理など何にでも合う万能選手。

4.上㐂元 純米吟醸 酒田酒造
 このお酒を飲めば誰でも上機嫌になるというのが名前の由来。フルーティーな香りと、バランス良くかつまろやかな味わい。

 自分自身や御世話になった方々へのクリスマスプレゼント、新年の祝いの席のお供など、この時期には特にまとめ買いしたくなる銘品揃いです!



 さて、こうしたイベントの合間をぬって、レストランを訪問するわけですが、日本のレストランに通うには地理的かつ金銭的な問題があり、「頻繁に」というわけにはまいりません。当地におけるフードアナリストとして、日本コミュニティー向けの紹介記事(Cocomontreal ボナペティ!)は続けておりますが、このたび御縁をいただき、当地のウェブマガジン、La Métropole(ラ・メトロポール)にフランス語でレストラン評価記事を連載することとなりました。以前に同マガジンのお酒関連記者にインタビューいただいたことが知り合うきっかけとなり、このたびの御依頼となりました。
La métropoleインタビュー-Nico, Kimono et Sake-

 日本語で書くのと違い倍以上の時間がかかりますが、これまでと違う読者の方々との交流が始まったことに、心ウキウキしています。勿論、これまでもこれからも、この食ッキング・食っきんぐを読んでくださる皆様への感謝の便りは続きます。どうぞ引き続きご贔屓に!

La métropole 記事 Restaurant le Filet
 「恋も酒も人を熱くし、明るくし、くつろがせる」(プルタルコス)。愛する町モントリオールにはしごを掲げ、あちらこちらへ出かけていくのは、そんなくつろぎを重ねる憩いそのものでもあるのです。はしごを支えてくださる皆様に感謝しております。
 皆様の憩いの時間に、美味しいお飲み物、最高のお食事が寄り添っていますように。どうぞ良いお年をお迎えください。