国連WFPエッセーコンテスト

藤田にこ『食ッキング・食っきんぐ』

モントリオールに日本人観光客が一番多くなるのは、秋の紅葉の季節。日本の繊細なお着物模様のような紅葉とはまた違って、広いキャンバスにダイナミックに筆を走らせたような、そんな色彩が人気です。

芸術の秋に入ってまずしたことは、1つのエッセー執筆。偶然目にしたエッセー・コンテスト案内は締切がその二日後に迫っておりましたが、コンテストの趣旨に大いに賛同しぜひとも参加したくなり、一気に書いて提出しました。
そのコンテストとは、国連機関であるWorld Food Programme(WFP)が、毎年主催しているものです。国連WFPは、飢餓と貧困の撲滅を目指す食糧支援機関であり、災害や紛争時に食料を配給したり、途上国の学校に給食を届けたりと幅広く活動しています。

http://ja.wfp.org/

現在、世界では8人に1人が飢餓に苦しんでいるそうです。このエッセーコンテストに応募が1件あるごとに、協賛企業から給食1日分(30円)が国連WFPに寄付され、学校給食支援に役立てられる仕組みになっているのです。
大好きな「文章を書くこと」でお金をいただき、しかもそれを飢餓に苦しむ子供の援助に役立ててもらえる。そして実は、その昔よくラジオ番組を聴いていた湯川れい子審査委員長に、もしかしたら私の文章を読んでもらえるかもしれない。そんな邪まな気持ちも重なり、応募したのです。

そして幸運なことに、18歳以上部門賞をいただくことができました。国連大学で行われた表彰式には父に代理出席してもらい、念願の湯川審査委員長からの温かい御言葉もいただきました。他に小学生部門、中・高生部門もありますので、飢餓とは縁遠い日本の子供たちも、世界の同世代の子供たちのことを考え、更に手助けをする活動に参加できることになるのです。

今年のエッセーのテーマは「いただきます」と「ごちそうさま」でした。食への感謝を表現する日本特有の言葉を手掛かりに、世界に広がる貧困や飢餓について関心をもってほしいという言葉が、国連WFPのページに書かれていました。

私が書いたのは、西アフリカのダカール滞在中に体験した、日本語生徒たちとの交流についてでした。「カンベルのいた・だきます」というタイトルを見て、「あら?変なところで切れてる」と思ってくださった方には、ぜひご一読いただけたらと思います。
こうした体験があるからこそ、フードアナリストとしても、母親、人間としても、食の世界に敬愛の念を持ち続けることができているのだと思っています。

http://www.redcup.jp/essay/2014/results.html

今年の応募総数は13,180人。よって、1,186,200円の寄付がなされたそうです。
来年も開催が予定されています。皆様も、食のシェアを一人でも多くの子供たちとできるよう、エッセー執筆に御参加なされてはいかがでしょうか。
子供の輝く笑顔は、我々には何よりの、人生の御馳走です。